売上を10倍に。経営戦略を実現するDXを支えるシステム基盤にSalesforceを採用
おきなわC&Cグループについて
おきなわC&Cグループは、『人をつくり、人によりそい、社会に役立つ』をコーポレートメッセージに掲げ、沖縄県那覇市を拠点とし、債権管理回収業、M&A、不動産事業など多岐にわたる事業を展開している。1999年に設立されて以来、地域社会に根ざした企業活動を通じて、多くの企業や個人に信頼されるパートナーとして成長を遂げてきた。
Salesforceの導入を検討した経緯
おきなわC&Cグループでは「M&A/不動産事業規模を5年後に10倍にする」という経営戦略のもと、その実現に向けて、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。
DXによって「WEBプラットフォーム構想」を実現し、これまでの「勘・経験・度胸」に頼った「KKD経営」から「データドリブン経営」にシフトし、金融機関や士業の方々ともそのプラットフォーム上で連携していく。
「この構想を成功させるため、3つのステップに分けて取り組みを行い、最初のステップとしてCRMの導入を検討しました。」と代表取締役社長の大神田 氏は語る。
「WEBプラットフォーム構想」を実現するためには、社内だけでなく、社外との連携も必要になります。CRMはいくつか検討した結果、SalesforceがおきなわC&Cのデジタル戦略を叶えるのに最適という結論に至りました。」(大神田 氏)
DX実現へ向けた構想とロードマップ(おきなわC&Cグループ様ご提供)
Salesforce導入前の課題
おきなわC&Cグループの情報システム室、室長の上江洲氏は「導入の前はエクセル、ワード、Teams、グループウェアをつかって業務を行っており、4つの課題を抱えていました。」と語る。
その課題とは以下の4つだ。
Salesforce導入の経緯(おきなわC&Cグループ様ご提供)
①情報の一元管理ができていない
情報が二重管理されていて、変更があった際に何ヶ所も変更を掛ける必要があった。
②情報共有が煩雑
利用していたグループウェアでは閲覧の権限設定が活動記録ごとに必要だったり、情報を探しにくいという課題があった。
③タスクの抜け漏れ
案件ごとに個別のエクセルで情報を管理しており、さらに別のエクセルでその案件の進捗状況を管理していたため、管理職はタスク確認にも時間がかかっていた。
また、タスクが煩雑なので、タスクの抜け漏れが発生していた。
④成約までの期間が長い
複数案件が同時進行しており、管理が煩雑になってしまって1件にかかる期間が長くなってしまうという課題があった。売上を10倍にするため、各社員がより多くの案件を効率的に進めることが求められ、成約までの期間短縮も不可欠だった。
大神田氏は「情報共有や管理が煩雑であったために、上司から部下の状況が見えにくくなってしまい、マネジメントにも影響が出て、お客様に迷惑がかかってしまうこともありました。」と当時を振り返る。
導入のプロセス
導入検討が始まったのは2022年の5月、いくつかのCRMを検討しSalesforceの導入を決め、導入の支援を受けるためテラ・ウェブクリエイトにお声がけいただいた。
「テラ・ウェブクリエイトさんには2022年の10月、「現状分析・要件定義」のフェーズから入っていただきました。やりたい事は決まっていましたが、それを実現するための具体的な開発手法の相談や、現場の意見を取り入れながらより使いやすいものにするためにどうすればよいかなどを相談し実装の支援をしていただきました。」(上江洲氏)
そして、2023年の4月にカットオーバーし、検討から約1年で運用開始された。
Salesforce運用までの流れ(おきなわC&Cグループ様ご提供)
導入にあたり苦労した点
「現状分析や要件定義にも苦労しましたが、それを形にする設計や開発フェーズも苦労しました。」(上江洲氏)
運用開始前から現場の方にも触っていただき、要望を取り入れながら開発を進められたため、この期間はかなり大変だった。
「現場からの要望などインシデントは200件ぐらいあがってきました。それをテラ・ウェブクリエイトさんと1件ずつ、実施の可否を含め検討し進めました。私もシステムエンジニアなので、テラ・ウェブクリエイトさんとの話も早く、スピード感を持って対応いただきました。」(上江洲氏)
導入後の効果
CRMを導入し、当初の課題がクリアできたかを伺った。
①情報の一元管理ができていない
②情報共有が煩雑
については、Salesforceに情報が集まってくることで一元管理ができ、それによって煩雑さがなくなった。
③タスクの抜け漏れ
Salesforceのダッシュボードを見ればタスクの期限切れなどは一目瞭然になった。
④成約までの期間が長い
相手があることなので、自分たちがコントロールできない部分は別として、効率化ができることで確実に短くなり、成約までの最短記録も更新。
作業効率化については具体的に以下のような効果があった。
- 非公開報告書の設定変更(作業が不要に) :100%
- 交渉記録のまとめが不要(4時間→5分に) :97%
- 業務報告作成時間(30分→15分) :50%改善
→ダッシュボードを報告資料に貼り付けて完成
管理職の方々も管理にかかる時間がかなり短縮された。
また、可視化によってフォローがしやすくなったことでお客様へのコンタクトが1ヶ月以上されていないといったこともなくなった。
プロジェクト成功のポイント
おきなわC&Cグループでは、DXの成功に向けて、ツールやサービスだけでなく、それを設計・推進する「人材」も積極的に採用し、体制づくりを進めた。特に、2022年11月に入社した上江洲氏は「現状分析・要件定義」のフェーズからこのプロジェクトに参画し、メイン担当としてプロジェクトを牽引しました。上江洲氏はまさに、このプロジェクトに必須の人材だった。
導入に際し、おきなわC&Cグループでは以下の点を考慮した。
- ベンダーに任せっぱなしにせず、必要な機能は自ら作ること
- メンテナンス性を考慮し、コードは書かずにGUIで実装すること
「ベンダーに任せっきりではプロジェクトはうまくいかないと思っていました。」と上江洲氏は語る。
開発段階においては、テラ・ウェブクリエイトとの課題(インシデント)のやり取りは、上江洲氏が自らSalesforceで作成したインシデント管理画面を通じて行われた。最初は現場の方々がSalesforceに慣れていなかったため、上江洲氏が現場の意見を吸い上げ、インシデントを登録していたが、運用テストの段階では、現場の方々にもSalesforceで直接登録を行ってもらった。
Salesforceの運用開始から1年が経過し、情報が着実に集約される仕組みが構築され、その導入効果が実感できるようになった。「情報が集まるということは、現場での入力がしっかりと行われている証拠です。」(上江洲氏)しかし、現場に入力を定着させることは決して簡単ではない。そこで、どのようにして入力の定着を図ったのか、具体的なポイントを伺った。
システムを利用するのは現場の方々。導入部門に運用担当をおき、部門主体で運用を行うという考えのもと、導入部門に運用担当者をおいた。
それが、導入部門(業務部)の宮城氏だった。
宮城氏はもともと、M&Aの業務仕様について上江洲氏の相談先だった。
「コミュニケーションを取るなかで宮城なら運用できそうだと思い、運用前から5ヶ月間、画面や項目作成を通してスキルトランスファーを行いました。」(上江洲氏)
宮城氏の担当はM&A仲介事業のバックオフィス業務だ。
「Salesforceは利用したこともありませんでしたし、システムって何?という感じでした」と語る宮城氏だが今では現場からの質問にはほぼ回答することができ、上江洲氏にエスカレーションされることはほとんどない。
業務部 宮城 世奈 氏
「コーディネーターと呼ばれるM&A事業の前線で活躍する方々のバックオフィス業務を一手に担っているのが宮城で、彼女は業務に精通しています。その宮城とシステムに精通している上江洲がカチッと噛み合うことによって、より良いものを作っていこうというふうになっていったと思います。」(大神田氏)
「データを入力してもらうために教育もしましたし、運用担当をおき、疑問が出たり困ったりしたらすぐに宮城に聞ける体制にしました。あとはダッシュボードで活動の記録は全て見えるようにして、入力がない人は活動していないと見なすというのをトップから言ってもらいました。」(上江洲氏)
毎週の案件進捗会議はSalesforceを使うようにしたので、入力してないと会議で報告もできないため、必然的に情報をいれるようになっていった。
「入力してください」という号令だけでなく、それをサポートする運用担当者を導入部門におき現場をサポートしたというのが成功ポイントだ。
とはいえ、当初は現場からの反発も起こっていたが、代表取締役常務の末吉氏が現場からの声を親身に聞き緩衝材として間に入り、現場の思いや不満を吸収し方向性を整えていくという役目を担い、それぞれが役割分担をしながらプロジェクトを推進した。
代表取締役常務 末吉 直樹 氏
『人をつくり、人によりそい、社会に役立つ』というコーポレートメッセージがおきなわC&Cグループの社内に細部にまで宿っていた。
今後の展開
今後の展望(おきなわC&Cグループ様ご提供)
おきなわC&CグループのWEBプラットフォーム構想は、現在STEP2まで実現されている。今後は、STEP3として金融機関や士業の方々とのやり取りにコミュニティーCloudを活用しながら、Salesforce上で円滑に行えるようにすることを目指す。
また、「データドリブン経営」をさらに推進していく。すでにデータが全てSalesforceに集約される仕組みが整っているため、今後はM&A事業における売り手と買い手の自動マッチング、詳細なデータ分析、売上予測、他の業務でも生成AIの活用までを視野に入れています。
さらに、宮城氏のような『人』(IT人材)を社内で育成し、全社的なDXを推進する体制づくりを強化していく。
最後に大神田氏は「テラ・ウェブクリエイトさんには今後自動マッチングの仕組みや顧客データの分析を進めていきたいので支援をしていただきたいと期待している。」と語ってくださった。
会社名 | 株式会社おきなわC&Cホールディングス |
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事業内容 | 債権管理回収事業、M&A仲介・不動産事業、バイアウト投資事業 |
従業員数 | 61名(2024年9月現在) |
サイトURL | https://occh.co.jp/ |
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